脈動の防止方法

ポンプによる脈動を防止する方法として、吐出配管側に防止用機器を取り付ける事により脈動を減少させることが出来ます。

ここでは代表的な機器の紹介と使用方法、注意点などを解説します。

 

エアチャンバーとは

 

容器内に空気室を有し、空気の伸縮を利用してポンプの脈動を緩衝させ、安定した液体の流れを作ります。

配管振動及びオーバーフィード現象などを軽減できます。

 

脈動減少の原理

往復動ポンプが吐出工程に入ると、ポンプ圧力によりエアチャンバー内の空気が圧縮され、エアチャンバー内は液体が増加します。

(下図①参照)

この時、もともと入っていた空気は圧縮されることにより、チャンバー内圧が高い状態になります。

ポンプが吸込行程の際(図②)は、ポンプからの吐出圧力はかからない状態の為、エアチャンバー内で圧縮されていた空気圧力によってエアチャンバー内の液体を押し出す作用が働きます。

つまり、脈動の原因となる、吸込工程の吐出されない時にも、圧縮された空気の押しだしによる吐出作用が働き全体として脈動が緩衝されます。

 

エアチャンバーの注意点

 

エアチャンバー使用の注意点として、エアチャンバー内の空気が液体へ徐々に溶け込む可能性があります。

空気量が少なくなると脈動が大きくなるため、定期的にエア補充の必要があります。

また、エアチャンバーは空気に直接触れる構造の為、空気自体に影響を受ける液体には使用できません。

 

次にエアチャンバーは内部の空気が充分に蓄圧されるのに時間がかかります。

その為、移送液が吐出するまでに時間がかかります。(ポンプ起動時の吐出遅れ発生)

また、出口の背圧がチャンバー内空気圧より低い場合は、ポンプ停止時、エアチャンバー内に圧縮されたエアが液を押し出すため、

液ダレのような現象が起きる可能性があります。

 

背圧が必要

 

エアチャンバー使用で見落としがちなのが「背圧」が必要と言う点です。

背圧が無ければチャンバー内へ流体が溜まらず、充分な脈動減衰効果を得られません。

背圧は吐出側バルブの絞りにより得ることも可能です。

または左写真のような背圧弁を取り付ければ背圧をかけ続ける事が出来ます

 

 

アキュームレーターとは

 

アキュームレータとは、エアチャンバーと違い空気が直接液体に触れないように、空気と流体の境目にプラダと呼ばれるゴムの風船のような形状の物が入っており、風船内に圧縮されたガス(一般に窒素ガス)が封入されています。

脈動減衰の原理はエアチャンバーと同じです。

エアチャンバーの弱点であった空気と直接触れるという点が無いため、空気が液体に溶解したり、液体が酸化・変質したりすることがありません。

 

脈動減衰器(ダンパー)とは

 

ダンパーとは「運動エネルギーを減衰させるもの」を指しますが、ポンプに使用されるダンパー(脈動減衰器)も同じく、脈動流を減衰・平均化させる役割を持ちます。

構造はアキュームレーターに近く、ゴム風船の代わりにダイヤフラムを用いることが一般的です。

エイチツー製脈動減衰器PMZはエアダイヤフラムポンプの脈動を前提に設計。

材質もPP製からSUS製、PVDF製と豊富なラインナップから選べます。

 

脈動減衰器の設置イメージ

 

配管上へ設置する際は、下図①の設置が推奨です。

 

脈動減衰器は背圧が必要ですので、吐出側配管に脈動減背圧弁やバルブを設置して下さい。

背圧としては0.1Mpaを目安に設定を推奨します。

また、エアダイヤフラムポンプADD型の2ポートタイプなら、写真のように一方のポートへ減衰器を取り付けるだけで脈動が抑えられます。

 

 

脈動で困ったら

エイチツーの脈動減衰器PMZなら吐出配管上に設置するだけで脈動を減衰します。