今号のインタビュー企画の最後はおまけとして弊社代表の浜條隆行へ長谷がインタビューするという企画をお送りしたいと思います。

ポンプを主体とする「流体エンジニアリングメーカー」を創業するに至った話、会社残高が1万円を切った時の話。そして今後の展望について切り込みました。

是非お楽しみください。

 

長谷 本日はお忙しい中、わざわざ弊社までお越し頂きありがとうございます。

浜條 いや、毎日来てるから(笑)

長谷 早速ですが、いちおう流体技術マガジンのラストを浜條のインタビューで終わろうと思っています。今回はお客さんからよく質問を受ける事への回答みたいな感じでやろうと思っています。

 

なぜ流体技術マガジンを作って送るのか

長谷 この流体技術マガジンについて、大変好評なのですが、「お金もかかるだろうし、なぜこんな事をしているのか?」という問い合わせを受けることがあります。

浜條 他社さんではやっていないサービスだよね。カタログとか技術資料はあっても、四半期に一度雑誌を送るということはしていないね。

長谷 コストもかなりかかりますよね。

浜條 かかるね(笑)理由としてひとつは、メルマガを読まないお客様にも、情報を届けたい、ということがあるよね。

長谷 エイチツーのメルマガ、面白いんですけどね。

浜條 やっぱり紙媒体って、実物をもらえるのって好きな人多いと思うんだよね。理由の二つ目としては、流体関連の案件で、困った時に弊社を思い出してほしい、という思いがある。

長谷 エイチツーの「こんな事もやっています、こんな事もできます」というのを知ってもらう為に、情報発信はすごく力を入れているという事ですね。

 

最初は大変だったんじゃないですか?

長谷 現在7期目で、お陰様でずっと増収増益で来ていますが、それでも日本に数あるポンプメーカーの中では若い方です。

浜條 「最初大変だったでしょう」というのは、今でも聞かれる。

起業したての頃は実績も無いし、集客の仕方もよくわからないので、会社の残高が1万円を切ったこともあったよね(笑)でもその時に、某船舶用発動機メーカー様の大型案件を受注して。それはもちろん会社的にも助かったし設計者としてもとても自信に繋がった案件だったかな。

長谷 クリスマスの時期でしたね。

浜條 その時に、お客さんの求めている本質をやっと理解したというかはっとしたんだよね。

「お客様の欲しいのは、ポンプじゃなくて、問題や課題の解決策であって、ポンプはその為のモジュールなんだ」という事に気づけたのは大きかったと思う。

長谷 極端な話、「ポンプを売りに行かない」という事ですね。

 

起業した理由

長谷 中には、特に仲の良いお客さんには「起業した理由」を聞かれることがあります。

浜條 なんて答えるの?(笑)

長谷 女の子にモテたくて・・・と答えますが。

浜條 でも、起業した理由に関してはドラマチックなストーリーは無いから、俺も困る(笑)前職がポンプメーカーに勤めていて得意な事が流体技術に関する事だった、というのが、本音なんだけど。

長谷 でも、変わりましたね、意識が。

浜條 そう、変わった。「物を売るんだ」から「解決策を提案するんだ」に変わってから、すごく仕事が楽しくなったし、業績も急上昇するようになった。

長谷 まず、価格競争に巻き込まれなくなりましたね。

浜條 どうしても大手さんが相手だと、相見積もりが必要な場合があるけど、それにしても「エイチツーしかやりようがない」というところまで仕様を煮詰めるから、価格勝負にはならなくなる。

長谷 価格勝負でも、かなり勝てる傾向があります。

 

今後の展望として

長谷 今後のエイチツーの展望として、どういったイメージですか?

浜條 モジュール(機器)のラインナップとしては、更にニッチな領域を考えている。例えば今強化している「粘度」に強い製品群だとか。

会社としては、もっともっと独自性を出したいな、と思っている。今でもメルマガや流体技術マガジンは他社がやっていないテイストで独自性が出せてると思うけど、もっといろんな人に「エイチツーさんは変わった会社だね」と、良い意味で言ってもらえるようになりたいと思ってるよ。

長谷 なるほど。その為の施策は何か考えてますか?

浜條 まず今期の冬は「スリッパ卓球世界大会」へ参加する。

長谷 なにそれすごい楽しそう。

浜條 毎年雪合戦世界大会へ参加してるけど、やっぱり勝てないから、今年はスリッパ卓球にするわ。

長谷 課外活動はいつもメルマガやマガジンで結果報告してますけど、わりに皆さん気にしてみて頂いているみたいです。

浜條 「へ~面白い会社だな~ちょっとエイチツーさんに聞いてみようか」みたいな引き合いがもっと増えると良いかな。

 

今後の課題について

長谷 最後に、今後の課題についてで締めたいと思います。

浜條 エイチツーもそれなりに他社さんからマークされてくると思うから、そのプレッシャーから、それはありつつ、さらに業界で存在感を出したいなと思う。

長谷 基本的には今のやり方をさらに鋭くしていく感じですか。

浜條 例えば、うちみたいなニッチな製品を「全て即納できます」みたいな事をしちゃえば、お客さんにとっても「エイチツーさんしかない」が進むと思うし、価値があるんじゃないかな。

長谷 全て即納は強いですね。特にニッチ領域でそれが出来れば。

浜條 でも実際、他社さんの動向は全く気にしてない。前職でも「○○のメーカーの同等品が○○だから、弊社も○○じゃないと売れない」っていうようなことをやっていたけど、Googleも言ってるけど、「他社の事を気にしてそれを方針にするなんて顧客を置き去りにしている」と思うから。

エイチツーはエイチツーの路線で良いと思う。そうしなければ、起業した意味が無いじゃない?

 

長谷 あとは、採用というか、どう人を育てていくか、という事も課題のひとつかと思います。特にうちは「経験者」があり得ないほど特殊な事をやっていたりするので。

浜條 うちみたいな中小企業が必ず直面する問題(笑)

長谷 エイチツーは雰囲気も独特だし。社員旅行をダーツの旅みたいに日本地図にダーツ投げて刺さったところに行こうとする会社あんまり無いですよ。

浜條 雪合戦の世界大会に参加したり、丸太乗り選手権にも出たりするもんね。

長谷 だからあんまり真面目じゃないような印象を与えないか不安で。

浜條 仕事の内容は極めて真面目で社内の雰囲気はオープンなだけなんだけどな。

長谷 でもコアなファンはすごく多くて。メルマガの感想とかも励みになっています。あ~やって良かったな~と思いますね。

浜條 色々と悩みながらでも、お客さんの役に立っている事が会社の存続理由だとしたら、何とか今まで正解だった、という事じゃないかな・

長谷 うまくまとめましたね。

浜條 来年もインタビュー企画やっても良いかも(笑)