▶ポンプの入れ替えで脈動が発生

弊社に寄せられるご相談でよくある相談が「既設のポンプの故障が多いので、より故障の少ないポンプに変えたい」という声が寄せられます。

例えば、既設の陸上渦巻きポンプが「スラリーが原因で故障する」と判明し、スラリーに強いエアダイヤフラムポンプを提案したところ、大変好評でした。

お客様としては既設のポンプ配管をそのまま使用したい、という意向が強く、口径を合わせたポンプで提案をしましたが、ここにトラブルの種が潜んでいます。

 

渦巻きから容積型へ入れ替え時の注意点

右の件は「脈動の発生しない渦巻き式から脈動の発生する容積型へ変更」となりますので、配管上へ脈動減衰器及び背圧弁の設置をお勧めします。

既設が渦巻き式の場合は、脈動が元々ないため配管サポートなどに関しても甘い場合が多く、そのまま脈動のあるタイプへ交換すると思わぬトラブルを招く可能性があります。

配管振動が他の配管や配線へ干渉しするなど、未然にトラブルを防止し、せっかくの改善を無駄にしない為に脈動減衰器の設置を検討する必要があります。

 

▶流量計の精度が出ない

ダイヤフラム式流量計や歯車式流量計、電磁流量計など、流量計には「脈動流の計測に適していない」ものが一般的です。

脈動を前提としていない流量計を使用してしまうと、計測誤差が大きく、使えない場合があります。

流量計を使用してポンプ吐出量の計測をしたい場合は、必ずポンプ脈動の有無を確認してください。

脈動減衰器などで脈動を減少させるのが対策となりますが、難しい場合は「脈動流」も計測できる流量計を使用して下さい。

なお、電磁流量計などでまた、流量計の応答時間を長くすることで安定化を図ることもできますが、現場での設定が必要なこと、また安定化は可能ですが、シビアな計測には経験上向いていません。

流量計を使ったシビアなフォードバック制御を考えられているお客様は、

・脈動を減少させる

・応答時間が調整できる脈動対応の流量計

の選定をお勧めします。

なお、弊社でもポンプ及び脈動減衰器はもちろん、流量計を使ったシーケンス制御も承っております。

是非ご検討ください。

 

▶定格流量の倍の流量が出る

脈動流を発生させる往復動ポンプは、オーバーフィード現象が発生する可能性があります。

オーバーフィード現象とは、吐出の勢い(慣性)によって、ポンプが停止しても液体が流れ続ける現象のことを言います。

特に脈動流のポンプの場合はこの現象が大きく現れ、定格流量より多く吐出されてしまいます。

 

定量ポンプ(薬注ポンプ)は要注意

ダイヤフラム式の定量ポンプの場合は、定量を注入する事が目的となります。

注入量にシビアな環境で使用され、また注入量も微量の設定が多く、オーバーフィードによって規定量の倍を注入しているという事もあり得ます。

例えば中和装置で使用される薬注ポンプも定量ダイヤフラムポンプになりますが、中和剤の打ち込みが設定の倍入ってしまうと、うまく中和できないという不具合に繋がってしまう可能性があります。

オーバーフィード現象のの防止は配管の末端(注入点)に「サイホン防止弁」を設置します。

サイホン現象と同時にオーバーフィードも防止します

 

▶今までより過大に脈動が発生する

脈動を発生させるポンプを使用中に、従来以上の脈動流が発生しだした場合の原因と対策について解説します。

 

エアダイヤフラムポンプの場合

エアダイヤフラムポンプはポンプ室が左右にあり、それぞれのダイヤフラムが交互に吸い込みと吐出を繰り返し、送液します。

その為、脈動流が発生しますが、駆動元であるエア供給が一定であれば、規則的な脈動になります。

エアダイヤフラムポンプを使用中に脈動や振動が大きくなったと感じられた場合は、次の二点をチェックすると改善される場合があります。

 

 ①ボールや弁座の消耗をチェックする

 ②ダイヤフラムを交換する

 

①については、スラリー液を含む移送や、固着性のある流体の送液の歳に、片側の弁や弁座が極端に消耗や固着をしていると送液のバランスが崩れ、不整脈のような不安定な吐出になります。

その為、一定の脈動ではなくなり、脈動が大きく感じられます。

弁と弁座の方減りは吸込みエアによっても引き起こされるので、なるべく空運転やエアを含む吸い込みは短時間に収まるように設計するか、弁と弁座のチェックを都度行うようにして下さい。

②についてはダイヤフラム自体が伸縮性のあるゴムになる為、消耗により伸縮性が失われ、特に片側に顕著な場合、①と同じく送液のバランスを崩し、不安てない脈動流になる可能性があります。

 

一軸ねじポンプの場合

一軸ねじポンプ(スネークポンプ)は容積型の回転ポンプに当たる為、高速回転で吐出する際はほぼ無脈動に近い送液になります。

ゴム系材質のステーターの中を、金属製のローターが回転しますが、一軸ねじポンプで脈動が過大になってきた際は、ステーターとローターの消耗をチェックします。

ローターは偏心形状となっており、ステーターとの隙間を流体が移動する仕組みです。

ローターとステーター間は一部密着しており、シールすることにより精度の良い定量吐出を実現しています。

ローターの摩耗によりステーター間のシールが不十分になると、吐出量の減少に伴い、送液が不安定になり、脈動流を発生させます。

同じ要因で、ステーターの摩耗でも脈動流を発生させるので、一軸ねじポンプ使用時の脈動発生はステーターとローターの消耗をチェックして下さい。

なお、回転数が一分間に30回程度の低速運転では、容積型特有の脈動が発生します。

 

脈動で困ったら

エイチツーの脈動減衰器PMZなら吐出配管上に設置するだけで脈動を減衰します。