国際単位系SIとは?

人類は古くから物事に共通の認識を持つために、基準を設定し、その基準に照らし合わせて量的な判断をしてきました。

その基準がいわゆる「単位」と呼ばれるもので、日本では尺、寸、欧米ではヤードやインチなどが用いられていたため

いちいち換算しないと比較ができませんでした。

商工業が盛んになるにつれ、世界基準としての共通の単位が必要不可欠となりました。

そこで、1795年より共通の規格の概念が生まれ、長い時間をかけ、現在では各国共通である国際単位系【SI】が採用されています。

 

SIは7つの基本単位があり、長さのm(メートル)、質量のkg(キログラム)、時間のs(秒)、熱力学温度のK(ケルビン)

電流のA(アンペア)、物質量のmol(モル)、光度のcd(カンデラ)がSI基本単位と定められています。

普段からよく使う単位や、よほどの技術職ではない限り使わない単位がありますね。

無数に存在する単位の中でも、まずはSI基本単位から皆さんが特に接する機会が多い単位について紹介します。

 

【ⅿ】長さ・メートル

国際単位系(SI)において、長さはⅿ(メートル)で表されます。

SIにおける現在の長さの定義は

【1秒の2億9979万2458分の1時間で光が真空中を伝わる行程の長さ】

とあります。

様々な物理量で「長さ」は最も基本的な単位で、日本にメートルという概念が食品工場でのコンタミは命にかかわることもあります。

小麦や大豆などは有害物質ではありませんが、アレルギーの原因物質になるため

コンタミが起これば多くの被害が出る可能性があります。

シビアなコンタミ防止策としては機器はサニタリー仕様で統一するのはもちろん

製造ラインを十分に洗浄する(CIPやCOP洗浄)、特定原材料及び特定原材料に準じるものを含まない食品から順に製造する

可能な限り専用器具を使用することなどが挙げられます。

 

【kg】重さ・キログラム

2019年5月20日、質量は新しい定義に変わりました。キログラムは質量の単位であり

基本単位の中で唯一、物理定数や物質定数によらず人が作成したものが質量の基準となっているのです。

体重は我々固有の質量に重力加速度を乗じたものです。地球上で赤道と極域を比較した場合

地球の自転による遠心力で生じる重力の大きさが変化します。

日本国内でもその影響を僅かながらうけることから、北海道・本州・九州の3種類に質量表示の設定が分けられることから

日本の最北端と最南端で体重がほんの少しだけ差が生じます。

因みに南に行くほど、体重は軽く表示されます。

 

【s】時間・秒

何時に起きる、遅刻しそう、夜までに帰るなど、時間は非常に身近な存在ですね。

時間の定義は

【1秒=セシウム133原子の電磁波の周期の約92億倍】

とされており、原子時計にも使われるほど正確な値をもとに定められています。

20世紀になると電子技術の発達によりクォーツ時計が登場します。

水晶(クォーツクリスタル)を特定のサイズにカットすることで1秒を計ることが出来るようになり

機械式の時計と比べ飛躍気に正確性が増しました。

現在ではもっと正確なものとなりましたが、当時は業界の革命だったとか。

また普段から地球の自転による太陽の動きを基本として生活する私たちですが

時間の概念なしに生活をすることはほぼ不可能でしょう。

不規則な地球の自転を無視することが出来るようになってからは、原子時に基づきながら

地球の自転との時刻差が一定範囲に収まるように協定世界時とよばれる管理体制により誤差の調整

「うるう秒」の実施が世界で一斉に行われます。直近では2017年1月1日に実施されました。

 

【K】温度・ケルビン

毎年のように猛暑が襲う日本では夏と冬の寒暖差が70℃近くなる事もあるので

大きな関心事である温度はK(ケルビン)で表されます。

温度や熱を利用したことでジェームズ・ワットが発明した蒸気機関車はあまりに有名ですが

現在でも仕事率W(ワット)の単位として名を残しています。

このWについては別章で詳しく解説します。

 

【A】電流・アンペア

外に出て見渡すと、たくさんの電柱や電線があります。電線は各家庭や会社、工場の電気の入り口には必ずブレーカーがあります。

一次電源ともいわれますが、そこには最大契約容量が何A(アンペア)なのかが書かれています。

このAはアンペアのAで、電流・電気量(電荷)の流れを指します。

流体技術業界でもポンプはもちろん、制御盤や各電子機器には必ずA(アンペア)が関わってきます。

 

弊社の耐熱水中ポンプの定格電流を尋ねられることは珍しくありません。何も尋ねられることは不思議な事ではなく

「定格は〇〇アンペアですよ。」とお伝えするのですが、この定格電流とは一体どういう意味なのでしょうか?

定格の定義として、機器の使用条件または限度を表した数字を指します。

これを出力で表したものを「定格出力」「定格容量」といいます。

耐熱水中ポンプでもその定義は変わらず、標準的な使い方をしている時の電流量の値として、「定格電流」をお伝えしています。

仮に定格電流以上で電流を流した場合は、最悪の場合故障の原因に十分になりうるので、注意の必要があります。

電流値異常による故障の原因は様々ですが、故障を防ぐためには日常的な電流値のチェックが必要となります。

定格電流値より高い場合、低い場合で原因となる機器やフロー上の問題点を判明できることもしばしばあります。

機器の長寿命化の為にも、日常的な点検作業を怠らない事が、効率化への近道となるでしょう

 

【mol】物質量・モル

数年前に改定された物質量を表す単位であるmol(モル)の定義はアメデオ・アボガドロによる

「同じ温度、圧力、体積の器体はすべて同じ数の分子を含む」と仮説立てされた後の

アボガドロ定数の法則を基準として改定されました。

アボガドロ定数を解説するには本章で収まらない為、またの機会に説明する事とします。

 

【cd】光度・カンデラ

光度を示すcd(カンデラ)は周波数540×10の12乗ヘルツの・・・・・

と難解な定義が付けられていますが、特別な光が単位時間あたり1立体角内に放射するエネルギーとしているようです。

要するに明るさの定義を数値化しているもので、もともとはガス灯を基準として

ロウソク10本分の明るさをcd(カンデラ)の基準としていました。