SI組立単位とは?

SI組立単位とは、第一章で紹介したSI基本単位をベースとしてあらわすことのできる単位です。

組立単位には、固有の名称と記号で与えられているものもあります。

第二章では7つの基本単位の組み合わせのみで表せるSI組立単位を紹介していきます。

 

【㎡】面積・平米

長さの単位である「m」を組み合わせた単位。mの2乗をしたものを面積とし、平方メートルと

みます。とても身近な単位ですね。

日本だけでも沢山ある広さの表し方ですが、一章にあったように長さの基準が「尺」だったこともあり

6尺×6尺を1坪としていました。欧米で伝統的に使われる長さの単位はヤード

フィートで日本でもゴルフや航空機の飛ぶ高さ等を表す際にはこの単位を使います。

またヘクタール(ha)は1ヘクタール=1000mとして換算できる単位となります。

その他にも、雄牛2頭が1日に耕せる面積に基づいたエーカー(ac)は40ⅿ×100ⅿとされています。

黄色いクマさんのキャラクターで有名な100エーカーのもりは、ざっと400ⅿ×1000ⅿの面積の森という事なので

実は東京ドーム8.6個分程度の面積だったんですね。

 

日本の面積は約38万平方キロメートル。

長方形でのイメージなら1000km×380kmで、ちょうど地球と月との距離が約38万キロメートルなので

日本をビヨーンとうまく伸ばすと、月に到達します。

世界の国の面積では日本は61番目の面積で、1位のロシアともなれば1710万平方キロメートルにも及びます。

その広さは実に日本45個分にあたります。

 

【㎥】体積・立米

面積の次に身近な単位は「体積」ではないでしょうか?

単位は「㎥」で立方メートル・立米などと呼び名は多く存在します。

体積は物体の3次元の大きさで、1リットルあたり140円などと、ガソリンの量を体積で表します。

現在の体積の単位は1㎥、すなわち、一辺が1mの立方体の体積が基準となっています。

SI単位系では容器の容量を体積で表した値として容積とされている為別の意味合いとして切り離して使用されます。

 

容積と体積の違いは左記となります。

容積⇒容器の容量を体積で表した値

体積⇒物体が空間に占める大きさ

工場の排水ピットのサイズや、中和装置のタンクサイズなどで使う「㎥」は

容器(ピットやタンク等)を入れる道具なので、体積というより容積としての単位で使用しているという事ですね。

 

【N・ⅿ】トルク

組付けなどの現場ではよく耳にする「ネジのトルク」という言葉。このトルクも実は単位なのです。

トルクは従来、「回転力」などと説明されることが往々にしてありますが、正確には【力のモーメント】のことを指します。

並列運動や回転運動では力(ニュートン)が運動を起こさせるものに対して力のモーメントとします。

例えば一本の棒の両端に重さの違う重りを付け、中心に支点を置くと当然ですが重い方に傾きます。

この回転方向を促すものこそが、力のモーメントであり、その力の大きさは左記の様になります。

物体の重さ(N)×力点と支点の長さ(ⅿ)

後述しますが出力の単位である(W)とも深い関わりがあり、出力を求める式には

「トルク×回転数÷時間」

「トルク」×「角速度」

など、トルクと出力は切っても切れない関係といえます。

※並進運動(図上)・回転運動(図下)

 

【etc.】その他

組立単位にはその他にも、速度や濁度、密度などがあります。

簡単な解説ですがその他の単位も見ていきましょう。

 

速さと加速度

一秒間に進む距離を「メートル毎秒」と呼び、単位では(ⅿ/s)となります。

台風や車の速さを表すのはキロメートル(kⅿ)と毎時(h)を掛け合わせてkⅿ/hで表すのは、この基礎単位の応用で使用されます。

速さの単位とよく似ているのが、加速度の単位(ⅿ/s²)は「メートル毎秒毎秒」と言います。速さは一定でないことから、増減します。

加速度は速さの増減を表す単位であり、スピードが上がっていく様と減速していく様に対して

加速度は正、加速度は負であると示します。

道路を走る車は、赤信号や一時停止時に加速度は負となり、発車しスピードが上がっていく際には

加速度は正に働いているという事となりますね。

 

密度と海水

密度・質量密度の単位は(kg/ⅿ³)です。

読みは「キログラム毎立法メートル」で物質の1立方メートル当たりの質量の事を指します。

質量kgあたりの体積ⅿ³=密度と考えるとわかりやすいですね。

感覚的に密度を理解している方は多いと思いますが、海水に溶け込んでいる塩分の密度について考えたことはあるでしょうか。

海水には塩分が多く含まれておりこの塩分の密度は温度に大きく左右されます。

水の密度は水温が低く、塩分量が多いほど大きくなる事から、極域で冷やされた海水は周囲の海水より密度が大きい為

重くなり沈みます。

 

表層の海水より重くなり、それを繰り返すことで海底に達した海水は表層と深層にわかれ

世界中の海の循環が行われます。密度差によって海水が動く機構が出来上がっています。

また、密度は物質に適応される単位の為、物質を前提としない電流に対しては独自の(A/ⅿ²)「アンペア毎平方メートル」が当てはめられ

面積中あたりの電流の値を表しています。

 

濁度

濃度が(mol/m³)や(kg/m³)で表されるように、濁度は濁りを表す際に使用されます。

しかし、この濁度に対して単位として英数字が割り当てられることがありません。

透視度や濁度は人間が目視で水質を評価する値であり、環境計測用語としてどちらも「度」の単位で表される事が多く

近年濁度を計測する自動濁度計測装置などの登場によって、固有の基準にて1度=1ppmとして表されることもあります。

よく似た単位に透明度があり、これは長さの単位と同じ(ⅿ)で表されます。

透明度は海や湖などの水の清濁を表しており、ⅿで表される由来はその計測方法によるものから、だとされています。

セッキー円盤(セッキ板・透明度板)と呼ばれる白い円盤を水中に沈めていき

水面上から肉眼で識別できる限界の水深を測る事で決定されているため、このような単位系が用いられています。

因みに透明度も人の目を使って測定を行う単位のため、検査員によって多少値が変わる単位の一つでもあります。