パッキンは「動く場所」に使用されるシール材の総称です。

シール部分が「どのように」動くのか、で回転用シールと往復動用シールがあります。

往復動で使用される代表的なパッキンとして、Oリングが挙げられますが、Oリングの仲間として、断面形状の違いでXリングなどがあり、その総称としてスクィージパッキンと呼びます。

どれもシール部の溝にはめ込み、押し付けることによりゴムが潰れ、シールとして機能しますが、摩耗性やコスト、耐圧性などで使い分けるようにします。

その使い分けのイメージは下表に記載したので参考にして下さい。

それぞれのリングについて簡単に解説します。

 

Oリングとは?

 

Oリング(オーリング)は、最初アメリカで航空機の油圧系統のシールとして、ゴム製 Oリングが規格化されました。

現在では、半導体及び原子力関連機器を始め、油圧・空圧機器などあらゆる産業に使用されており、シール材としては最も数多く使用されるシールのひとつです。

特徴としては、

・コンパクト

・シールに方向性が無い

・種類が豊富で、低価格

Oリングのシール原理は、Oリングを溝に装着し、約8~30%の圧縮(潰れしろ)を与え、低圧の場合はOリング自体の弾性によって、セルフシールすることができます。

流体の圧力が増加してくると、Oリングはその圧力によって溝の片側に押し付けられ、O形が変形し、D形になることで、接面圧力が増加し、シールすることができます。

原理的には、ゴムが破壊されるまでシールすることが可能出来ます。

しかし、Oリングの使用個所には必ず隙間が発生します。

流体の圧力が高くなれば、隙間からOリングがはみだして破壊され、シール能力が低下してしまいます。

このような高圧の場合は、バックアップリングにてはみだし現象を防止することができます。

 

Xリングとは?

 

Xリング(エックスリング)とは断面がX形状のシール材で4か所の先端部がそれぞれリップ(シール)の機能をもっています。

 

Oリングと比べてねじれにくく、またリップ間でグリースなどの潤滑剤を保持する働きが有る為、補助シールとして作用します。

Oリングに比べると、接触圧がより小さく低摩擦で長寿命であるなどの優れた特性があります。

また、対角線につっぱる形をしているので、Oリングに比べて高い密閉性が生まれて確実なシールが可能です。

低圧に特に有効なパッキンでありねじりだけでなく摩擦にも強く、密閉性に優れています。

 

Dリングとは?

 

Dリング(ディリング)とは、断面がDの字形をしたパッキンです。

往復運動用として、ねじれ損傷を防止できるのが特長です。

Oリングより小さいつぶししろでよく、高圧では、バックアップリングを使用します。

Xリングと比べて摩耗性が低いのが欠点です。

 

Tリングとは?

 

Tリング(ティリング)とは、断面がTの字形をしたパッキンです。

T字形状の為、動作している最中にねじれてしまうという問題が発生しません。

さらに、一方向のみの使用ではなく、双方向のシールとしての使用ができます。

OリングやDリング、Xリングなどと比較をすると、比較的高価ですが摩擦性や耐圧性に優れており、ねじれに強いというのが大きなメリットです。

断面がT字の形をしていることによって回転揺動にもアドバンテージを発揮しますが、組み付けしにくい点もデメリットです。

 

油空圧に関する機械に対しては、耐熱性や耐溶剤性が求められますがフッ素ゴムを使用して作られたTリングであれば、そうした過酷な環境下であっても問題なく使用することができます。

Tリングは、スクウィーズパッキンの中では最も機能性に優れていると言えます。

 

トラブル対策

 

Oリングは原理的には半永久的に使用出来ると言われていますが、消耗品の設定をしているメーカーも多く、交換をお客様で行う事も多々あるかと思われます。

交換の際に一番トラブルとして多いのが「組み付け不良」です。

これはOリングの溝にしっかり嵌め込まずに組み付け、Oリングがはみ出し破損して液漏れとなってしまうケースです。

また腐食性への検討が甘く、耐蝕的にNGの材質を使用してOリングが破損して漏れるケースも多々あります。

Oリングは材質が違っても黒色が多く、一見すると違いが分からないため、組み付け時は他の材質・サイズのOリングと混在しないように注意してください。

摺動部のOリングは期間の長い短いはありますが必ず摩耗していきます。

摩耗した状態で使用し続けると、本来はシールされる箇所からの漏れが発生し、ピストンやギアなどが流体による錆・腐食が発生し、結果的にオーバーホール費用が多額になるケースがあります。

必ずメーカー推奨の交換機器を把握し、特にパッキン周辺は交換するようにして下さい。

材質としては、アルカリ系の流体にはEPDM、酸系の流体にはFKMなどの耐蝕材質を使用します。

それでも腐食によるトラブルが絶えない場合はPTFEの選択肢もありますが、PTFEは樹脂でありゴムでは無いため、弾力性に欠けます。

リングを押し付ける母材が金属なら問題ありませんが樹脂の場合は注意が必要です。