ガスケットとは?

ガスケット(gasket)とは、気密性や、流体の漏れを防止するために用いる固定用のシール材です。

固定用シール材の総称なので、運動用シール材(パッキン)とは区別して使用します。

漏れの原因トップ2

ガスケットは密閉性に絡む要素の為、トラブルは「漏れ」に尽きることになります。

その為、ガスケットの施工や選定には注意が必要ですが、漏れの原因を図に記載します。

圧倒的に施工不良が多く、次点で選定不良です。

ガスケットのトラブルはこの2点をしっかり抑えることで未然に防ぐ事が出来ます。

 

施工でよくあるトラブル

 

ガスケットの施工不良に該当する要因としては以下の3つが挙げられます。

・締め付け不足

・過剰な締め付け

・片締め

まず締め付け不足に関しては、ボルトナットでの締め付けトルクが不足し、密閉性が損なわれる事による漏れに繋がります。

この場合、ほとんどのトラブルは初期(試運転など)に発覚しますがそれ以外に初期には漏れずに振動などによる締め付けの緩和が発生し漏れが発生することがあります。

特に重要な部分や、温度変化が激しい箇所、振動が発生する箇所は増し締めを定期的に行う事で防ぐ事ができます。

 

次に過剰な締め付けについて解説します。

過剰締付けによるトラブルとしては、主にガスケットの圧縮破壊(圧壊)が挙げられます。

樹脂の締め付けの場合は樹脂のクラック発生などにもつながる為、トルクレンチなどを使い適正なトルクで締め付けることが大切です。

 

片締めとは締め付けトルクが一方に偏り、ガスケットの面と面との合わさりが上手く出来ないことを指します。

具体的にはフランジガスケットの場合、上方を最初に締め、下方を最後に締めた場合、そのまま作業完了とすると下方の締めで上方が緩んだのをそのままにする事になります。

必ずボルトナットの締め付け順序は対角線に行うようにして下さい。

対角線で行った後、再度最初に戻り締め付ける、を繰り返す事で面に均等にトルクがかかることになり安定性が増します。

 

ガスケットの選定

 

次にガスケットの選定について解説します。

多種多様なガスケットがある中で多くの条件を基に判断する必要があります。

その中でも必ず押さえるべき条件としては

・流体種類

・温度

・圧力

この3点を押さえる事で使用上は大きなトラブルを防ぐ事が出来ます。

 

流体種類

 

まずはガスケットの材質を選定する為に、流体の腐食性を把握することが必要です。

ガスケットは一般的なNBRやEPDMのようなアルカリに強い材質のものなどがあり、使用する流体に合わせて選びます。

また、一見腐食性の無さそうな溶剤系や洗浄剤なども、ゴムを溶かす性質があるものも多く、内面PTFEにするなど、必ずメーカーに問合せして下さい。

 

温度

 

次に温度の条件を確認します。

常温ならあまり問題ありませんが高温の場合、使用できるガスケット材質が限られてきます。

また流体によっては温度によって腐食性の挙動が変わる物もある為、温度と腐食性はセットで考えると失敗しにくくなります。

 

圧力

使用圧力もガスケット選定での大切な要因のひとつです。

ガスケット自体が温度-圧力レーティングの表を持っているので、高温かつ1MPaを超える圧力を想定している場合、汎用のガスケットでは対応出来ない可能性があります。

必ずメーカーに問い合わせなどを行い、選定をしてください。

 

特に注意するべき流体

 

スラリーを含む流体に対してソフトガスケットはエロージョンにより破損・漏洩することがあります。

エロージョンとは、機械的に起こる磨耗作用のことで、スラリーが流速によりガスケットを擦るような作用をする現象です。

硬い、切削性の高いスラリーへのガスケットは、メタルガスケットなど摩耗に強いものを選定することを推奨します。

また、重合性モノマー(スチレンモノマー、塩ビモノマーなど)にはPTFE 系ガスケットは不具合が発生することがあります。

その場合、内外輪付うず巻形ガスケットやメタルガスケットの選定を推奨します。