硫酸・苛性移送の注意点

硫酸・苛性をポンプで移送する際の注意点は、「漏洩させないこと」です。

環境への懸念ももちろんですが、硫酸・苛性がポンプから吹き出し、人体にかかるような事故を防ぐために、ポンプ選定は細心の注意が必要です。

 

まずはポンプの材質的に硫酸に長期的に耐えれる材質を選定します。

硫酸にステンレス鋼を使う場合、10%以下及び90%以上であれば常温にて使用可能です。

硫酸は90%以上になると還元性が弱くなるので、ステンレスは酸化されにくくなります。

パッキンはFKMやEPDMを使用するなど、硫酸・苛性への耐食を充分確認してください。

 

使えるポンプ

硫酸・苛性で使えるポンプとしてマグネットポンプや定量ポンプ(薬液注入ポンプ)、エアダイヤフラムポンプなどがあります。

「ケミカルポンプ」と呼ばれるような薬液用のポンプは、硫酸・苛性にも対応できる材質が揃っている事が多いので、そこから選定するのがベターです。

 

マグネットポンプ

比較的大量の硫酸・苛性を移送したい時に向いています。

流量としては毎分数リッターから数百リッターまで様々です。

羽根車(インペラ)で移送する仕組みですが、メカニカルシールが無い構造なので、漏れが無いポンプとして認知されています。

定量性はあまりありませんが、とにかく大量に移送したい場合に適しているポンプです。

 

定量ポンプ

中和処理装置などにおいて、少しずつ、正確に硫酸や苛性を注入したい場合などに向いています。

流量としては毎分数ミリリッターから数百ミリリッターと様々です。

ダイヤフラム式の移送原理の為、定量ポンプも漏れが非常に少なく安心です。

自吸能力も高い為、薬液タンクの上に置いて吸わせる、という使い方が一般的です。

 

水中ポンプなら漏れても安心

硫酸や苛性を大量に送る場合、どんなに耐食性を考慮しても、構造上漏れが発生しにくくても「地上にポンプがある」という事自体がリスクになる場合があります。

そんな時は、硫酸や苛性の貯槽にそのまま入れれる水中ポンプがおススメです。

殊な材質で構成した、エイチツーの耐食水中ポンプなら、腐食せずに硫酸・苛性の原液へ投げ込む事が出来ます。

水中に常にポンプがあるので、万が一漏れた場合も、飛散するリスクがありません。

 

また、緊急時漏洩用の、回収ポンプとして、常備しておくと、地上に池のように溜まってしまった硫酸苛性を安全に回収する事ができます。