モーターの選び方、と聞くと一気にハードルが上がる気がするかもしれません。
でもご安心を。この章では、選定に必要なポイントを絞って、なるべくわかりやすく整理しました。
「選定する際に何を考慮するべき?」
「カタログでどこを見たらいいの?」という疑問も解決することでしょう。
最後には、モーターで動かす高粘度移送ポンプも少しご紹介しますね。
モーターの選定
モーターの選定では、トルクと回転速度の関係を理解することが重要です。
一般的に、トルクが増えると回転速度は下がりますが、その特性はモーターの種類によって異なります。
誘導モーターは速度の変化が小さく、永久磁石型DCモーターは直線的に減速し、同期モーターは速度が一定です。
また、DCモーターはブラシの摩耗や火花が発生するため、使用環境に注意が必要です。
さらに、モーターが駆動する負荷も速度によって特性が異なり、低トルク負荷や2乗トルク負荷など、用途に応じた理解が求められます。
以下の図ではそれらの特徴を比較しています。
用途に合った特性を持つモータを選定する事が必要です。
例えば、ポンプ一つとっても、これらの負荷特性とポンプの移送用途やポンプの構造によって選定内容が異なります。
定トルク負荷を選定するのは、容積型ポンプ(ピストンポンプ、一軸ねじポンプなど)で、流量は回転数に比例するが、トルクはほぼ一定で高粘度移送の際に必要となる高トルクに対応しています。
2乗トルク負荷の特性では、インペラを回転して流体を押し出す、水中ポンプなどが代表的です。
モーター特性と選定
現在は企業努力によりモーターの選定は簡略化され、必要な質問に答えるだけで希望に沿ったモーター選定が可能となりました。
しかし、適切なモーターを選ぶためには、現場を一番理解している選定者が基本的な選定の考え方や負荷の特性、使用環境を理解した上での選定が欠かせません。
カタログの中から、用途に合ったモータを選ぶには、モータにかかる負荷を知ることが重要です。
負荷の要求トルクはいくらか、希望の回転数はいくらか、負荷の慣性モーメントはいくらか、加速減速時の時定数はいくらかなどを知る必要があります。
選定のステップは、大きく5つあります。
ステップ1 モータの機構を選ぶ
機構、概略寸法、重量、速度など
ステップ2 モータの使い方を決める
ステップ3 使い方に関する特性を確認する
ステップ4 モータの機種を選定
ステップ5 必要なモーター出力を計算する
(出力計算ツールを活用する)
また、以下にはカタログに記載されていることが多い重要な項目をまとめたのでご確認ください。
モーターとポンプ
投げ込み式の水中ポンプや、エアモーターを採用したエアダイヤフラムポンプなど、ポンプ本体と一体型として組み込まれているモーターも多くあります。
その一方で、移送したい流体の特性や、流量、現場環境によってはポンプ接液部とモーターをカップリングと呼ばれる接続部品で繋ぎ、モーターの回転トルクをポンプ駆動の為の原動力として使用する事もあります。
化粧品や食品原料などの移送を行う際には、移送物の粘度が高い事が多く、移送にもパワーが必要となり前述したようなポンプと適切なモーターを組み合わせて使用します。
モーターの特性や負荷の条件をしっかり踏まえて選定することで、現場のニーズにぴったり合った動力源を実現できます。
モーターは「とりあえず回ればいい」ではなく、使い方に合った選び方が肝心です。
適切な選定が、安定した運転やトラブル防止につながるのです。