オイルシールとは?
オイルシールとは、オイル(油)をシール(封じる)するパッキンタイプのシールです。
機械に使用される潤滑油や、水、薬液、ガスなどが機械の隙間から漏れるのを防ぐと同時に、外部からほこりなどを侵入するのを防ぐ働きをしています。
エンジンやモーターなど回転する機構をもつ機械は、金属部品同士が擦り合い摩擦を起こすので、油がないと高温になり様々な不具合を発生させます。
摩擦が起こる箇所(摺動部と呼びます)は多くの場合油が使われ、摩擦を減らしたり温度を逃がすなどの役割を果たします。
単純に油をさしただけでは、一時的には部品を潤わせますが、シールが無いと漏れていき、機械部品はやがて油を失い摩擦熱により高温になり、不具合を起こします。
そこで、一度充填した油を漏れ出ないようにするのがオイルシールなのです。
オイルシールは、ベアリングのような形をしており、通常は金属リングとゴムによって構成されます。
リングの中には金属のコイルが入っており、ゴムを外側に押すような力が常にかかっています。
例えばシャフトなど摩擦する部分に油を充填し、その部分にオイルシールを取り付けることにより、油が漏れるのを防ぎながらも、機械部品が潤滑され、スムーズに動くようになります。
リング内のコイルにより機械部品の回転に追従し取付き、隙間をなくし油が漏れないように出来ます。
水中ポンプで使われるオイルシール
ポンプにもオイルシールは頻繁に使用されますので、実際にどのような場所で使われ、どう機能しているのか、弊社のポンプを例にとり解説します。
写真は弊社の「浮上油回収スキマー」で使用される水中ポンプのオイルシールです。
分解図で説明します。
オイルシールは16番に該当しますので、中央の黒丸印部に挿入されています。
水中ポンプはモータシャフトとインペラが直結されていますので、かなりの高速でシャフトが回転することになります。
例えば一分間に2800回転などです。
高速で回転するシャフトは真っ直ぐに回転させないと他部品に干渉するなど不具合も発生させますので、その固定も大切です。
つまり摩耗を防ぎながら固定するという相反する条件が必要になります。
そこで水中ポンプはオイルバスという、一定量のオイルを溜める部屋を作り、そこから常に潤滑油が循環する機能を有しています。(黒矢印部です)
オイルシールの内側をシャフトが通り、すぐにインペラ(部番6)に繋がっているのがわかります。
流体が通る部分からの液侵入も防ぎながらオイルが漏れないようにシールするオイルシールは、このようポンプにとって大切な役割を果たしています。
オイルシールが劣化すると
オイルシールの劣化としては傷、硬化、軟化、偏摩耗などがあり、例えば傷はポンプで言うとスラリーの干渉、硬化・軟化に関しては使用液との材質不適合が考えられます。
偏摩耗はオイルシールの片側が異常に摩耗している状態を指し、シャフトの芯ずれなどが考えられます。
ではポンプに取り付けてあるオイルシールが劣化するとどのような症状や不具合が想定されるのでしょうか?
まず第一にオイルシールが損傷するとオイル漏れが発生します。
特に水中ポンプになると液表面にオイルが広がり、オイル独特の反射をするので、排水ポンプなどがオイル漏れし河川に放流すると大きなトラブルになる可能性があります。
地上設置型のポンプのオイル漏れは接地面にオイルが溜まる、などで把握可能ですが、オイル漏れを放置すると駆動部の重要な損傷に繋がるので、見つけたら早急に対処が必要です。
そして第二に、特に水中ポンプでのケースになりますが、流体が駆動部内に浸水し錆などの腐食に繋がるケースがあります。
水中ポンプは常に水中に設置してある為、水圧が常時かかっている状態です。
オイルシールが破損すると、オイルの流出とともに流体が内部へ侵入する事もあり、そのまま放置するとベアリングの腐食などが始まり、駆動部やモータ部へ影響します。
最悪はモータに浸水し漏電することで大きな事故に繋がる可能性もある為、オイル漏れはオーバーホールの重大なサインと考えて下さい。
なお、オイルの入れすぎ(注入過多)による漏れもあり得ますので、オイル交換の際はメーカー規定の充填量を守るようにして下さい。
オイルシールの交換方法
オイルシールは消耗品の為、メーカーそれぞれで交換方法が変わりますが、ここでは一般的な注意点を解説します。
オイルシールは、ゴミや埃などの異物が大敵であり、交換時はこれらに注意して交換します。
もしもゴミ等があれば、使用する潤滑油で洗い流します。布などで拭き取ることはNGです。
取り付け向き方向をよく確認し、圧入を滑らかにするために、リップ先端部と取付ける側に潤滑油を薄く塗り、組込む直前に塗布します。
圧入は奥まで平行に気をつけて挿入してください。