バルブがいっぱい!
私たちの生活を支えているものに「社会インフラ」があります。
主に、水道・下水道・都市(燃料)ガス、電気などですが、供給の末端では電気を除き、流体を搬送・制御する【配管とバルブ】が必要不可欠です。
朝起きて洗顔、歯磨き、トイレ炊飯、いずれもほとんどが水道水を使用します。
いずれも朝一番の行動には、水栓、湯水混合栓、ガスの元栓などのバルブを操作しています。
トイレはどうでしょう?
水洗トイレもまたバルブが自動で動作する事で給水、停止をしてタンクに水がストックされます。
もちろん設備配管やプラント設計などを行っていれば毎日と言っていいほどバルブを目にすることでしょう。
そう、私たちの生活には必ずと言っていい程にバルブの恩恵を受けています。
今回は身の回りにあるバルブから、専門的なバルブ、その特徴や注意点を深堀りしていきます。
バルブの「わからない」が少しでも「わかった!」に繋がれば幸いです。
バルブは配管の○○?
流体を移送、搬送する場合、その流体の「通り道」が必要不可欠となり、それを私たちは「配管」と呼びます。
流体=車の流れとしたとき、配管=道路に相当します。
しかし、その道路もただ道を作っただけではうまく車が流れません。
道路だけでは車を制御する事が出来ないからです。
普段、車は信号や道路標識などに従って走行する事で、目的地まで円滑にたどり着けます。
配管ではバルブが信号や道路標識の役割を果たし、流体を移送したい場所へ的確に移送する非常に重要な役割を担います。
配管ではバルブが唯一制御ができる機器なのです。
その為、バルブは「配管のお巡りさん」と呼ばれるなど、工業の発展に欠かせない全産業の裏方を担っています。
現に一般生活で身近なところにあるバルブは限られており、その殆どが機器の中、壁の中、天井裏などに収納されている事が多くあります。
バルブは主役?
配管を構成する部材をコンポーネントと言ったりしますが、その選定順及び量の多さから次の様に分類されます。
コンポーネント(配管部材)
・管
・管継ぎ手
・バルブ
・スペシャルティ
・支持装置
・伸縮接手
・景気計装器類
・その他
バルブがいくら制御できるコンポネートに分類されていても、流体と配管が無い事にはバルブの出番はありません。
しかしながら、石油や化学プラントと呼ばれる工場では配管やバルブが多く設置され、
プラントではバルブが特に目立つ主役として扱われることも少なくはありません。
3つの機能
バルブはJIS(日本工業規格)の用語定義によると、「流体を通したり止めたり、制御したりするため、通路を開閉できる事
が出来る可動機構をもつ機器の総称である」とされています。
もっとわかりやすく言えば、配管内の流体の流路の切り替えや、流量の制限が出来る機器を総じてバルブというという事がわかります。
流体を制御するというバルブが持つ機能を考えてみると、実は、制御と言ってもある3つの機能がある事がわかってきます。
それは、下記の①~③にあたります。
① 絞る
② 流す
③ 止める
至ってシンプルですが、配管部材として内部の圧力を完全に密封する必要がある為、これを実現するためのシールする技術には万全を期さねばなりません。
特に絞る機能は流体の制御に大きく関わっており、密封しながら任意の流量を流す必要があります。
また、バルブは大きく分けられた3つの役割(絞る、止める、流す)に沿って下記の図のように分類できます。
※①スペシャルティ:主にプラント設備での呼び名で、バルブと同様に配管に取り付けられる機器類を指します。建築設備では、その他の配管材料と言われることが多く、プラント設備では独自に名づけられています。
バルブと栓の違い
ここまで、バルブという用語の定義、構成、機能を解説してきましたが、偏にバルブと言っただけでは、区分わけを明確にすることは難しいという事がわかりました。
バルブは用途、種類、形式、材料機能、構造など多種にわたります。
その為に修飾語と言われる文法を用いて、安全弁や逆止め弁などと、何をする弁なのかを判断できるようになっています。
バルブを用語として用いる場合は「バルブ」を、用途、種類、形式、材料、機能、等を表すための修飾語が頭に付く場合は「弁」を用いています。
例えば、前述した様な「安全弁」「逆止め弁」等と言い、一方「栓」は水栓、給水栓を除いて単独としては用語の定義はありません。
「栓」はよく「バルブ」と同義語として使用されますが、
【栓】・・・流体の取り出し口末端
【バルブ】・・・配管の途中に設けられる
といった分け方が適当とされています。
英語の表記では、水栓はFaucetやWater Tapとし、弁はValveとして表現に区別をつけています。
また、栓はバルブとしての分類というよりも、管継手のプラグのジャンルに入ります。