FROM,中島
配管に安心を
配管設備では何らかのトラブルにより、しばしば設計圧力を超えて圧力が異常に上昇する事があります。
特に流体が蒸気や圧縮性ガスの場合には、設備や配管が爆発する危険性もあります。
配管設計ではこのような異常時を想定して、配管の安全設備、壊れやすいところをつくっておく設計を行います。
配管前述した、スペシャルティのラプチャディスク(破裂板)もこの配管安全装置の一つです。
ラプチャディスクは設定圧力以上で破裂して圧力を外に逃がす代わりに、その構造から使い切りになるため、都度新しいものに交換が必要になります。
この動作をバルブで行うのが安全弁です。
安全弁は「自力式圧力調節弁」の一つで、設定圧力に上昇した配管内圧力を外部に放出して配管内圧を下げ、圧力が正常値に戻るとバルブが閉じて、本来の運転に復帰することから、ラプチャディスクのように破裂する構造ではない為、繰り返し使用が可能です。
ただし、安全弁は蒸気やガスなどの圧縮性のある流体に用いる場合を一般呼称とし、水や油などの非圧縮性流体に用いる場合は「逃し弁」と呼ばれます。
安全弁と逃し弁は流体の性質に合わせて性能的に、ガスや蒸気などの圧縮性流体は「がばっと開けて、ドッと流す」、水や油などの非圧縮性流体は「少し開けてチョロチョロ流す」構造になっています。
蒸気を捕まえ、空気を出す
流体には気体と液体が混合している場合がありますが、その際に液体だけを見分けて自動的に排出するバルブがあります。
「スチームトラップ」「エアトラップ」などと呼ばれるバルブです。
これらは、元々玉形弁の要領で手動開閉での運用で、ドレン水と蒸気を区別していましたが、時代と共に構造が発展しました。
しかし、現代に至ってもその方法は統一されておらず、多くの識別方法で蒸気とドレン水を分別しています。
空気抜き弁はエア抜き弁とも言われ、水系統の配管ラインに混入した空気のみを自動で外へ排出するバルブです。
別名、エアベントとも呼ばれ、建築設備などで給水、給湯のラインに多く使用されます。
また、プラント設備でサイフォン現象の対策として取り付けられる吸排気弁と空気抜き弁の違いは明確で負圧時の吸気能力です。
断水や事故等により給水立て管内の圧力が低下すると、立て管上部が負圧となり建物内で逆流(逆サイホン)が発生するおそれがあります。
その為給水立て管頂部には負圧を解消できるだけの多量の空気を管内に導入できる吸排気弁の設置が必要となります。
空気抜弁も配管内が負圧となった場合は空気を吸込みはしますが、吸気量が少ない為負圧の解消はできません。
ダイヤフラムとピンチ弁
前述したサンダース弁はパッキンをもたない構造のダイヤフラム弁を指します。
左図の通り流路をダイヤフラムがバルブの外部への通路を塞いでいるため、何らかの理由で内部のダイヤフラムが破れない限りグランド部からの漏れがありません。
ダイヤフラム弁とよく似た構造にピンチ弁があります。
ピンチ弁は流路を配管の外から直接潰し込み、流路を絶たせる方式の弁を指します。
ピンチ弁は接液部がチューブのみであるためチューブを交換することできます。
そのため、流路を常に清潔な状態に保つことができ、クロスコンタミを防止する事ができる利点が挙げられ、医療・分析機器に用いるバルブに適しています。
サニタリーバルブ
食品・製薬・化学産業でも専用のバルブが活躍しています。
それらの流体は体内に入るものが多い為、設備にはサニタリー性が必要不可欠です。
バルブには構造上どうしても液溜まりが出来てしまうものがあり、それらは基本的にはサニタリー性(洗浄性やコンタミレスの観点から)がないものとして区分され、ダイヤフラム弁やピンチ弁などはパッキンレスの構造により液溜まりがなく、サニタリー性に富んでいます。
また、バルブのみならず、それを移送する為のポンプや、配管継ぎ手などにもサニタリー性が必要となる為、分解洗浄が容易なヘルール継ぎ手などが採用されることが多くあります。
配管に取り付けないバルブ
ここまで配管に取り付けるバルブを紹介してきましたが、実は、圧力容器に設けられるバルブも多く存在します。
代表的なものが、容器弁といわれる高圧ガスの流れを止めたり、調節したり、ガスを容器に充填する時に用いらるバルブがあります。
LPガスボンベやスキューバーダイビングの酸素ボンベにも容器弁が取り付けられます。
また、ロータリー弁と呼ばれるバルブも存在します。
こちらはバルブでありながら粉体の移送などに使用される弁で、ホテルの回転扉のような構造で、クルクルと羽根を回転させながらバッチ処理的な動きをします。
ロータリーローブポンプの移送原理とほぼ同様の動きをするロータリー弁はバルブというより、ほとんどポンプに近いバルブです。
洗浄・分解性の高いポンプ
エイチツーではサニタリー性能の高いポンプをラインナップしています。
バルブもそうであったように、流体を移送するポンプにも、もちろんサニタリー性は必須です。
分解洗浄が容易で防爆エリアでも使用できるサニタリーエアダイヤフラムポンプや、高粘度液を高圧移送できるロータリーローブポンプなど、デモ機お貸出ししておりますので、サニタリー性が必要な設備をお考えのお客様は是非一度作業性の良さを体験して頂ければと思います。
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