硫酸とは?
純粋な100%の硫酸は、無色油状の液体で、加熱すると274度で沸騰します。
強力な脱水作用をもつ酸化剤であり、岩石や金属など、他の物質に対して強い腐食性を示します。
水との新和力が強く、任意の割合で混ざります。但し混合の際には発熱します。
この種々の濃度のモノを、一般に硫酸と呼びます。
硫酸は直接生活とはつながりが少ないですが、間接的にはすべての工業に関係があり、衣食住はもとより身辺のあらゆるもののほとんどは硫酸が重要な役割を果たしてできていると言われます。
硫酸が付着したら
硫酸は紙や布につくと炭化して黒くなったり、穴があいたりします。皮膚につくと、皮膚が侵されて傷つき危険です。
濃硫酸が誤って皮膚や衣類に付いた場合、すぐに大量の水で洗い流してください。
「大量の」というのが大きなポイントです。
すぐに近くの流し台などに行き、蛇口を全開で十分に洗い流してください。
その後、炭酸水素ナトリウム(3%程度)で中和し、さらに洗い流すのがベストです。
炭酸水素ナトリウムが無い場合はとにかく水で流し続ければ、火傷のような傷も浅くて済みます。
希硫酸の場合も同じですが、濃硫酸程に慌てる必要は無いと言われています。
炭酸水素ナトリウムでの中和は、必ず水で洗い流してからにして下さい。
洗い流す前の中和は、かえって中和熱で傷が酷くなる可能性があります。
なお、衣服に付いた場合に放置しておくと、水分が蒸発し、濃い硫酸になり危険なので、必ず洗い流してください。
希釈は絶対にダメ
硫酸は水との新和性が高い物質ですが、水と希釈すると大量の熱が発生します。
特に濃硫酸は少量の水が接触しただけで突沸(瞬間的に沸騰、飛散)する事があるので、自分で希釈はせずに、希釈が必要な場合は希釈済みの希硫酸を使うようにして下さい。
法的な制約
法規制としては、毒劇物取締法にて、200Kg以上の保管は、届出や資格が必要になります。
ざっくりですがポリ缶10缶以内の保管なら資格は不要です。
運用として薬液タンクに硫酸を入れている場合、南京錠などで容易に開けれない構造とする必要があります。
また、資格は不要ですが、工業の硫酸については医薬用外劇物指定なので、表示義務や保管責任者の選定が必要になります。
消防法では、60%以上の硫酸を消火活動阻害物質と指定しているので、届け出が必要です。
消防検査で薬品の配置や防液堤の構造のチェックを受けます。
また、経済産業省管轄で、PRTR制度に基づく量的な把握管理が必要な場合があります。