「タンクの水が溜まったら運転して減ったら止めたい」

 

このような液面の変動でポンプ動作を制御する方法を液面制御と言います。

液面制御はセンサであるフロートスイッチや電極棒をタンクへ設置し任意位置(接点)で信号を出し、それを制御盤が受けポンプの作動をコントロールします。

また、電極やフロートはどうしても流体に接液します。

接液を嫌う場合や「今、どれくらいの容量が入っているか」をより細かく具体的に連続的に計測したい場合などは、非接触式である超音波センサなどを採用します。

本項ではそれぞれの機器の特徴や注意点をまとめます。

 

フロートスイッチとは?

 

排水の液位制御で一般的なのがフロートスイッチです(写真1)

液面に浮かべたフロート(浮き)が、浮力で液位に合せて上下変動することで接点をオンにしたりオフにしたりします。

動作原理としてはフロートスイッチ内部に鋼球が内蔵しており、水面の変動に追従し傾いた鋼球が内部スイッチ部まで移動し、通電し接点とします。

① 空気中では垂直にぶら下がっています。

② 水位が上がり、フロートスイッチが90度以上傾いたら内部スイッチが動作し、液面を検知。

③ 水位が下がると内部スイッチから鋼球が離れ、接点もオフ。

というフローを繰り返します。

 

メリット・デメリット

 

フロートスイッチは非常に簡単な仕組みで液面を感知する為、安価かつ故障に強い特徴があります。

また、どのレベルでオンにするかオフにするか、という調整もケーブルの固定をどの位置にするか、という事で解決する為、調整が非常に用意です。

デメリットとしては電極自体にスケール(汚れ)が付着すると、浮力が落ち、動作タイミングがずれたり浮かばない、というトラブルに見舞われます。

またフロート自体が傾くスペースが必要な為、狭所には向いていません。

フロートも基本は水流に乗ってしまう為、干渉物によりフロートが割れてしまうような可能性のあるピットにも不向きです。

 

電極式レベルスイッチとは?

 

電極式レベルスイッチとは、前著したフロートとは違い可動部の無い

レベル用センサです。(写真2)

電極が液体に接触すると電流が流れるという原理を利用したレベルセンサで、コモンと呼ばれる電極棒が必ず必要で、コモンと他の電極の電流が流れる/流れないを検出して接点を制御します。

 

メリット・デメリット

 

メリットとしては可動部が無いため、狭い場所でも設置可能です。

また、電極数は5本など簡単に増やすことが出来るため、液面に合わせてを細かく作動を設定できます。

また、接液する電極棒の材質もステンレスからチタン、ハステロイなど腐食性を鑑み選択することが可能です。

 

デメリットとしては、作動原理から使用流体が導電性の液体のみに使用が可能です。

また、使用する流体にスケールやオイルやカルキなどが含まれている場合、絶縁被膜を形成し、正常に動作しなくなるトラブルが考えられるため、定期的な洗浄が必要になります。

また、泡立ちや波がある場合も誤動作に繋がる為、防波管の設置が必要です。

 

超音波レベルセンサとは?

 

超音波式レベルセンサは、超音波の伝搬現象を利用し液面の検出を行います。

超音波のパルスは測定液に当たり反射され、返ってきたエコーをセンサで受信します。

その戻って来るまでの時間により液面を検出する原理です。

反射式と透過式に大別できますがここでは「非接触」という特徴から流体技術ではよく使われることの多い反射式を解説していきます。

 

メリット・デメリット

 

超音波式は可動部(接液部)が無いため、フロートスイッチや電極式のように腐食性を懸念する必要がありません。

 

また、スケール付着による誤動作の心配も無く、安定して液面を検出します。

またセンサ機器自体がコンパクトな為、狭小スペースにも設置できます。

また、アナログ信号での出力により、液面を細かく計測できます。

単純なポンプ動作のオン・オフという使い方以外に「今現在何リッターの液があるのか」という計測にも使用が可能です。

デメリットとしては機器自体が比較的高価であり、アナログ信号での制御の際は制御盤側でシーケンサが必要だったりと、機器以外の部分でも価格が上がってしまう傾向です。

また液面の波立ちや泡立ちは、誤検出の原因となります。

 

液面制御機器・まとめ

 

液面制御はポンプにとっては動作のタイミングを決める重要な制御になります。

液面が上手く感知出来ていないとオーバーフローや空運転などのトラブルの要因になります。

定期的なチェックやトラブルが多い現場は一度別の計測原理にてお試し頂いたり、防波管などの設置でチャタリングを防止するなどで、生産性向上に繋がれば幸いです。

 

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