単純に移送するだけでは無く、流量をしっかり管理したい時などは、ポンプの流量制御が必要です。
流量制御の解説の前に、ポンプのいろいろな「流量調節方法」を見ていきたいと思います。
回転数の調節
渦巻き式ポンプやねじポンプ、チューブポンプなど、多くのポンプに使われる流量調節方法です。
モーターの回転数を遅くしたり速くしたりさせ、インペラやローターの回転数もそれに追従し、流量が可変します。
モーターの回転数を変化させる為に、別途インバーターが必要になります。
インバーターにより周波数(=回転数)を可変させ、同時にモーターの回転数が可変し、インペラの可変に繋がります。
周波数は基本的には60Hzが最大と設定されます。
例えば60Hz時点で10L/minの吐出量がある場合、半分の30Hzでは5L/min吐出する、というような具合です。
ストロークの調整
主に容積型のポンプで、往復動により移送するポンプはストロークの調整で流量を可変できます。
ストロークの調整は左記の2点があります。
・ストローク長の調整
・ストローク回数の調整
まずはストローク長の調整から解説していきます。
幅の調整
定量ダイヤフラムポンプはストローク長を調整できる「ダイヤル」を備えている為、ダイヤルが例えば10の位置で最大流量の場合、それを5にするだけで流量が半分になるというような調整が可能です。
回数の調節
往復動ポンプは「ストロークをする回数」自体を調整することで流量を調節する事も可能です。
電磁式ダイヤフラムポンプはモーターでは無くソレノイドの開閉を原理として往復させており、多くの電磁定量ポンプは液晶のパネルの操作によりストローク回数(ショット回数)を可変することが出来ます。
なお、エア駆動式ダイヤフラムポンプの場合、入力エア(供給エア)をバルブなどで絞る事でストローク回数が減り、流量を可変する事が出来ますが、定量ポンプのように厳密に流量を調整することが難しい機種になります。
流量精度にシビアな注入の場合は定量ポンプや一軸ねじポンプなどを選定し、移送のみを目的とする場合はエアダイヤフラムポンプが適しています。
フィードバック制御とは?
流量制御の主な方法として「フィードバック制御」があります。
フィードバック制御とは、「センサからの信号を読み取り、設定した目標値と比較し設備機器を運転し、目標値に近づける」制御の事になります。
ポンプを使ったフィードバック制御は左図になります。
例えば、常に一定の流量で移送したいという要望に応える場合を説明していきます。
ポンプの能力が100L/min最大とします。またポンプは一軸ねじポンプを想定しています。
そしてポンプを常に50L/minで動くように制御をしたい場合、周波数としては最大60Hzの半分の30Hzで動かせば、ポンプ能力が半分となり50L/minで動作しますが、ポンプの消耗や劣化など様々な要因で流量は変動してしまいます。
そこで流量計を吐出側に設置し、流量を常に監視するようにします。
ある時、流量計が40L/minを感知すると、流量計からの信号を受けたインバータは「流量が足りない」と判断し、周波数(回転数)を上げる信号をポンプに出します。
その信号を受けたポンプは回転数が上がり、流量が増加します。
その繰り返しをリアルタイムに行い、一定の流量へ自動的に調節します。
このようなフォードバック制御は流量の調節以外にも、温度を一定にする調節など、様々な用途で使用されます。
なお、実際のフィードバック制御の場合、図のような簡潔な機器構成では無く複雑になる場合も多く、またインバータや流量計の設定も専門性が必要な為、ポンプメーカ等へ装置として依頼すると確実です。
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