ボイラーとポンプ
とうとう最後の章になりました。
いかがでしょう?ここまで読み進めてみて、ボイラーについての理解は深まったでしょうか。
最終章となる本章では、ボイラーと流体技術の意外な親和性をご紹介しようかと思います。
まずは、ボイラーの内部で人知れず活躍するとあるポンプからご紹介します。
「薬注ポンプ」このポンプ、サイズは様々ではあるものの、一般的には数ml/minの少量の薬液や添加物を定量で移送を得意とするポンプです。
ボイラー内の燃焼や蒸気、温水に対して、どこで活躍しているのでしょうか?
実はボイラーを循環する水に対して配管内のスケールの発生や腐蝕を防止する目的で清缶剤と呼ばれる薬剤が打ち込まれます。
その際にこの薬注ポンプが役に立っているというわけです。
次に、この清缶剤はボイラーの寿命を長持ちさせるために必要な薬剤である代わりに、その成分からpHを上げます。
またボイラー水のpHはJISによって規定てれており、一例として産業用の高圧ボイラーはpH8.5~10.3が要求されるため、ボイラーからのドレン排水は高アルカリであることがほとんどです。
こういった排水は各自治体の定めるpH基準値まで中和処置を行い、排水するよう義務付けられています。
大きな工場などでは他の設備からの排水などを一カ所にまとめ排水処理設設備を設けている場合もありますが、そうでない場合などにはその重大度によって罰則が科せられます。
そんな時には「pH自動中和装置」を後付けすることでボイラーからの高アルカリ排水を自動で中和し排水することが出来ます。
そんな高アルカリのボイラー排水は、ほとんどの場合、高温の状態で排出されます。
ドレン排水の移送には、汎用の水中ポンプでは高温のボイラー排水に対応できないため、「耐熱水中ポンプ」を使用します。
耐熱性をもった陸上ポンプでも対応は可能ですが、高温の流体は自吸運転が難しいため落とし込みでの移送となります。
ボイラードレンはボイラーから自重で排出されるので、陸上ポンプを使用するには、陸上よりも高くに排出させて陸上ポンプに落とし込む必要があり、それは少し大変そうですね。
排水の話でポンプや中和装置が出てきましたが、ボイラーに給水する水にのラインも、とある処理が加わります。
それは、水処理装置や軟化装置と呼ばれ、ボイラーに供給される水を前段で通水させることで、不純物のフィルタリングや、スケールの元となるカルシウムやマグネシウムを吸着する役割があります。
この時使用されるのが「イオン交換樹脂」であり、それらの樹脂の特性によってボイラーにとっての保守となる原水の軟化が行われます。