圧縮空気のメリット

圧縮空気と電気を比較した場合、一般的にコスト効率が高いのは電気です。

冒頭にも解説した通り、圧縮空気の生成にはコンプレッサーのしょうな圧縮機械が必要であり、コンプレッサーを動かすには電気が必要です。

ひどく遠回りのように思えますよね。

しかしながら、圧縮空気には独自の利点があります。

安全性、消費電力、汎用性が肝要な工業環境では特にそれが言えます。

 

それでは、圧縮空気独自の利点を解説します。

 

安全性

電力の代わりに圧縮空気力を使用する主なメリットには安全性があります。

特に機器に過負荷がかかる場合、電気機器だと感電や火災の危険などのリスクがありますが、圧縮空気やエアツールは、電力が使用できない高湿度環境でも安全に使用できます。

例えば電気モーターが生じさせる一瞬のスパークも許されないような環境(防爆環境化)でもエア駆動の機器の使用が可能です。

機器の設置に関しても、エアーカプラなどを繋げるだけなので、電動駆動機器に必要な結線などは不要です。

結線間違いによる事故のリスクもありません。

 

機器が軽量・小型

エアツールは一般的に軽量です。電動駆動の際に必要となるモーターを必要としない為です。

コストについて見ると、圧縮空気自体のエネルギーコストは、電力の7倍から8倍高くなると言われています。

しかしながら、圧縮空気用に設計された装置は安価になる傾向があります。

空圧ツールは、一般的に部品点数が少なく、設計が単純であるため、特に生産環境では耐久性と堅牢性が向上し、軽量小型の為、作業性も向上します。

 

デメリットも解説

圧縮エアのメリットをお伝えしてきましたが、ここでデメリットもご紹介します。

まずは騒音の問題があります。

圧縮空気が開放される時に「バン!バン!」というような音が発生します。また、エアモータ―を使用する場合も同様に騒音値は高くなる傾向です。

圧縮エアで動く機器には、必ず空気の逃げ道=排気が必要です。

この圧縮エアの排気口からの音が、騒音となっています。

一般的に排気口に「サイレンサ―」と呼ばれる消音装置を付けて騒音値を下げますが、満足な消音効果を得られない場合、排気を建物外に逃したり、更に効果の高いサイレンサーを取付けるなどの対策があります。

 

もうひとつのデメリットとして、圧縮エアを生じさせるコンプレッサーの問題があります。

エアコンプレッサーは、不純物や水が大敵です。

エアーフィルターを使って適切に除去しないと、エアツールの故障や製品への異物混入の原因となります。

前項で解説した通り、空気は圧縮すると熱を生じさせます。

エアコンプレッサーで吸い込んだ大気は圧縮すると高温になり、多くの水分をため込みます。

その水分は配管内で冷却されると水滴となり、配管内のさびやエアーツール内部のさびの原因となります。

また、圧縮エアは大気中の空気を吸い込み生成するので、塵や埃なども吸い込みます。

それらがコンプレッサー内部の潤滑オイルや金属粉と混じり、ドレンと呼ばれる不純物が生成され、医薬品や食品など、クリーンさが求められる工場では特に問題となる場合があります。

電気と違い、圧縮エアには、それ自体の管理や品質を考える必要があります。