【i(a/b)】本質安全防爆構造
本質安全防爆構造は、正常時はもちろんのこと、事故発生時に発生した火花、過熱による爆発性ガスに点火しないことが公的機関によって認められたもの。
本質安全防爆構造は、危険場所と非危険場所に分けられた回路を以ってその原理とし、非防爆エリアに制御盤などの容器をもっていき、バリアユニットを経由させ電流値を低くして発火しにくい仕組みをとっています。
危険場所にある機器(スイッチ)を本安機器と言い、その回路を本質安全回路(本安回路などとも言う)と呼ばれます。
特別危険箇所(Zone0)に設置することができ、他の防爆構造に比べて軽量、小型であること、危険区域に設置できる検出器やスイッチが容易に設計できるのも本構造の特長として挙げられます。
携帯機器以外の電気機器には本安関連機器が必要になり、専用の本安配線も必要となるため、大きな電力を消費する電気機器は、本質安全防爆構造には不向きとされています。
また、電気回路で発生する火花が着火源として作用するか否かを着火試験で評価するとき、電気部品等の故障(断線、短絡、地絡など)の数を想定して行われます。
その際に、二つの故障を同時に想定した場合は安全レベルを【ia】とし、一つの場合は【ib】とします。
したがって、iaのほうがibより厳しい評価になるため、iaで記されている場合は特別危険箇所で使用し、ibの場合は第一類・第二類危険場所で使用するように規格で差を設けています。
本質安全防爆配線の点検保守では当初の設置条件と異なる状況になっていないかが重要にります。
使用する配線用ケーブルが変更されていないか、近接する電力用配線からの誘導防止が保たれているか、端子台などで電力用配線との混触防止処置が十分に取れているか等を、入念にチェックします。
【m】樹脂充填防爆構造
電気機器において着火源となりうる部分を絶縁性のコンパウンドで包み込み、着火源と爆発性雰囲気を隔離し、共存を避ける原理のもの。
樹脂充填防爆構造は、着火源に樹脂を注入する事で、異常時の爆発を防ぐ構造です。
小型化する事が出来る点や、他の防爆構造との組み合わせが用意にできるメリットも併せ持つ防爆構造になります。
本質安全防爆構造の様に、ma/mbがあり、定められる条件は本質安全防爆構造と同じく、aの方が厳しい試験をクリアしており、より安全性が高い物とされます。
樹脂での充填を本構造としましたが、石英紛やガラスの粒子などの充填物を使用する、粉体充填防爆構造記号【q】も存在する。
こちらも樹脂と同じく、着火源を覆い囲むことで、爆発性雰囲気との共存を避ける原理となります。
【n】非点火防爆構造
この構造は、電気機器の通常運転時及び特定の故障時に点火限とならいものに適応されます。
非点火防爆構造は、危険リスクが低い第2類危険箇所での使用に限定された防爆構造です。
簡易防爆とも呼ばれ、適応される電気機器・部品の範囲が広い構造です。
【s】特殊防爆構造
上記まで(前編を含む)の、どの防爆構造でもない構造を持ち、爆発性ガスの引火を防止できることが公的機関によって証明されたもの。
新しい原理による防爆技術、新しい構成、材料の進歩を取り入れた防爆技術により、既存の防爆構造と同等の性能がある事が条件となるため中々お目にかかる事が無い表示として記号【s】は記憶しておいてもいいのではないでしょうか。
防爆規格の防爆記号早見表(表示例)