スラリーのイメージ
スラリーは工業分野でよく使用される文言で、製造業や土木分野でよく使用されます。
ドロドロした懸濁液を指すことが多い用語ですが、どういった状態をスラリーと呼ぶのでしょうか?
スラリーは泥漿などとも呼ばれ、液体に個体の粒子が混在している状態を指します。
産業の生産プロセスで使用される場合もあれば、工業排水などの過程で、生成されるケースもあり、排水の分野では、
スラリーと語感がにているスカム、スラッジ等と混同される事もよくありますが、液中に含まれる粒子量の差や、その性質から、
全く違うものとして、判断が可能です。
まずスラリーの定義とともに、その基礎知識を一緒に学んでいきましょう。
スラリーの定義
スラリーの定義は、元来、泥、粘土、セメントなどに水を混ぜたのり状またはかゆ状のものを意味しますが、通常、固体粒子と液体との混合物や、サスペンション流体を指します。
特に水平流路における流れの様子は粒子径、スラリー濃度、平均流速などに依存し、早くも遅くもなります。
粘土のような微細粒子からなるスラリーは、静止時に沈殿、沈降しない性質のスラリーの為、安定な均質流的挙動を示します。
また、その濃厚なスラリーは高分子溶液やコロイド溶液等と同様に、その流体に直接かかる応力(ひずみ速度)によって粘度が変化する非ニュートン流体の特性を示します。
その為、スラリーの濃度が高いと(液中の粒子の量が多い)大きな粘性を有します。
対に、砕石などの粗い粒子からなるスラリーは、粒子の沈降速度が大きく、静止状態が続くと沈降するの
で、流れは非均質的、いわゆる不安定な特性を示します。
沈降性スラリーは、港湾における埋立・しゅんせつ時の泥土水,石炭石油混合燃料であるCOM(coal-oil mixture)、溶融塩に核燃料物質(ウランやトリウム)を溶解させて液体燃料として、
ポンプにより燃料塩自身を原子炉と1次系熱交換器の間を循環させ、原子炉で発生した熱を発電等に利用する液体燃料炉である溶融塩炉など土木工学や資源工学、エネルギー工学などの分野に応用される例が多いスラリー性質です。
また、生産業において、移送が困難な個体粒子を液体(おもに水)とともにポンプなどで移送する、スラリー移送が用いられます。
※サスペンション流体:懸濁液の意味を持ち、個体粒子が液体中に分散した液の事を指します。
コロイドとスラリー
スラリーは媒体となる流体に細かな粒子が混在している状態の事を指のですが、私たちの身近にある牛乳やコーヒーなどはスラリーなのでしょうか?
その際に考えなければならないのが、「コロイド」です。
聞きなれない用語ですが、コロイドとは、ある物質が特定の範囲の大きさ(0.1μm程度)の粒子となって他の物質の中に分散している状態をいいます。
スラリーとコロイド、両者ともに媒体になる水に細かな粒子が混在している状態そのものは同じなのですが、媒体になる流体の中に混在しする粒子のサイズ、存在する形状によって分類されます。
その微粒子(コロイド粒子)が液中に分散した液体をコロイド分散液と呼び、前述した牛乳や、コーヒーなどは正確にはスラリーではなく、コロイド分散液に分類されます。
コロイドは微小粒子が均一に分散した液体を指します。
その為、均一と分散というのが重要なポイントとなり、コロイドは静止状態では分離しません。
一方、スラリーは固体粒子と液体の不均一な混合物であることから、分散していないので、静止しておくと固体は沈殿、もしくは浮く場合があります。
肉眼でスラリー液かコロイド液かを判断する際は、その液体中の粒子が静止時に沈殿、浮上するなどの分離が認められるか、分離が認められないかを1つの判断基準としても良いかもしれません。
粒子が溶け込む媒体は液体のみとは限らず、気体、個体との分散する相と、分散させる相があります。
液体同士で分散しているものを、エマルジョン(乳濁液)、液体中に個体が分散している場合は、懸濁液(スラリーやコロイドなど)、液体に期待が分散されている場合はフォーム(泡)などに分類されます。
また、粒子サイズによって、ろ紙や半透膜を通過するか否か、顕微鏡で確認できるか否かが決まります。
下図では粒子サイズによる分類を表にして表しています。